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地球日記

三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/

   

日本気象学会2012年度春季大会@つくば

こんにちは,にしかわです
 
5月26日~29日,日本気象学会2012年度春季大会@つくばに参加してきました
 
26
『東アジアモンスーンと黒潮(Ⅱ)
ー中緯度大気海洋相互作用に着目した新たな研究のパラダイム』
今回の気象学会の中で,一番楽しみなセッションでした
 
谷本先生の招待講演
黒潮続流域の大気海洋相互作用の概要的なお話をはじめ,
海洋の影響で生まれた非地衡風がさらに海洋にどう影響しているのか?
非地衡風のエクマン収束などの効果で海洋のフロントを維持したり
暖水渦を南下させたりというお話は,非常に興味深かったです
まだ読んでいない論文もいくつかご紹介されていたので,
絶対読みます
 
自分の発表では,3名の方に質問していただき,
面白い観測ですねと言っていただけたのがとても嬉しかったです
また,発表後にも興味を持っていただいた方がご意見をくださいました
これまであまり考慮していなかった大気場の一般風の変化について,
ちゃんと考慮しないといけないのでは?とのご指摘いただいたので,
もっと詳細に解析していかなければいけないなと感じました
ただ,どうやったら一般風の変化を考慮できるのか。。。
難しそうですが,この壁を乗り越えたらまた新しい結果が得られるかもと思うと,
ワクワクします
そして,もしこの問題が解決できて収支計算からうまく上昇流が求められるなら,
この観測方法を使ってみたいというお言葉もいただけて,
本当に嬉しかったです
がんばるぞーー
 
同じセッションで発表したあんどぅ,おフジは,
堂々としていてすばらしい発表だったと思います。
私なんかより全然緊張していなかったんじゃないかな~
お疲れ様でした
 
 
27日
降水システムⅠの会場で拝聴

毎回楽しみにしている,庄内平野の地上観測網で得られたデータの解析です
気象研の佐藤さん他
メソβ渦が日本海上で発達し,さらに日本に上陸する際に2つの渦に分裂する様子が
きれいに見られていました
各サイトの気圧変化は
低圧部⇒高圧部(メソハイ)⇒低圧部
となる様子が捉えられていましたが
一番海岸に近いサイトでは高圧部から低圧部に変化するときに
数分間だけ気圧が上昇していました
発表者の佐藤さんも,ナゾの気圧上昇だとおっしゃっていました
密な観測をすると不思議な現象が次々と捉えられて,面白いですねー
続報が楽しみです
次回の気象学会でも発表されるかな~

東大院新領域 西田さん他
冬季の北太平洋の突風率に関して,ブイデータを下に解析していらっしゃいました
波浪によるz0(ラフネス)の変化が影響して突風の要因となっているのでは?
という結論は,すごく興味深いなと思いました。
発表後の質疑応答では,
風自体が波浪を形成するから,そのあたりの関係性はどうなんだろう?
大気の安定性が効いているんじゃないか?
など,活発な議論が行われていました
波浪が大気に影響するという,まさに海洋から大気への影響なので,
とても面白かったです


28日
気象研 釜堀さん
全球の降水量が熱帯低気圧にどのような寄与があるかということで,
熱帯低気圧が存在する日のコンポジット解析を行い,
どこに熱帯低気圧があるとどこに影響するのか?という内容でした
結果のひとつに,熱帯低気圧があると降水量が減る地域があるということを示されていました
また,大西洋に熱帯低気圧があるときは太平洋の降水に大きく影響しているが,
太平洋に熱帯低気圧があるときは大西洋にはあまり影響していないという,
相互的に影響しているわけではないという結果はとても興味深かったです
さらに,大西洋に熱帯低気圧がある場合はアフリカあたりに対流の活発域が見られたということで,
アリマさんの研究になんだか関連していそうだなーと感じました

Alimaさん
発表お疲れさまでした~
Very good presentation でした

東京大学 斉藤さん他
台風1112号の土砂災害の検証を紀伊半島を対象として行われていました
解析にはNormalized Soil Water Index (NSWI) という,
過去の記録と比較した相対的な雨量を示す指数を用いていました
降雨量が大きい地域と斜面崩壊が起きた地域は一致していませんでしたが,
NSWIが大きい地域と崩壊が起きた地域はきれいに一致していました
また,台風1112号による降雨が非常に多かったため,
NSWIが過去10年の最大よりも2倍の値を示し,
そのため台風1112号による斜面崩壊は大規模なものになったのではないか,
と結論付けられていました
土砂災害の防災のためにも,NSWIが多く使われるようになれば良いなと思いました

29日
ナスとななちゃんが午前中に発表しました
二人ともお疲れ様
リハーサルよりもすごく良くなっていて,落ち着いた発表でステキでした

神戸大院 佐伯さん他
2011年の台風6号の不規則な動きについての解析結果でした
この台風は,私はすごく印象に残っていました
なぜなら
昨年の若鷹丸乗船時にこの台風がウネウネ変な動きをしていたからです
この発表では,ウネウネした動きのなかで,
四国に上陸後すぐに海上に戻るような動きに注目し発表されていました
台風が蛇行するのには
①台風自身の渦運動
②背景風による移流
③急峻な地形の効果
の3つの要因が考えられるそうです
発表では,③の地形効果について詳しく説明がされていました
台風が海上に押し戻されたことには四国山地が大きく影響していたようです
『四国山脈を越えることが出来ない湿潤な空気が,
山に巻き込まれるような形となり,
そこで小低気圧が形成される
形成された小低気圧と台風とが反発しあい,
小低気圧は地形に固定されているため台風が押し戻されるような形となった』
という内容でした
なんでこんな動きするの???
とずっと疑問だったので,少しすっきりしました
ただ,海上に押し戻された台風がまっすぐ北上してきたのはナゼなんだろう。。。
まるで若鷹丸を追いかけてくるように。。。
単に高気圧の張り出しの問題なんでしょうか??
もっと一連のウネウネの動きについて詳しく聞いてみたいと思いました

防衛大 板野さん他
ラジオゾンデを台風の眼の中に入れることに成功したというものでした
浜松市に台風15号が上陸した際,
浜松気象隊は9時・21時の定時観測のほかに15時の臨時観測を行い
台風の眼の鉛直構造のデータを取得し,その結果について示されていました
観測結果は,温位・相当温位で前後の観測結果よりも高温の値を示し,
Warm Coreの構造が見られていました
もちろんななちゃんの台風観測では台風の中心から外側までの構造が捉えられており
すごいですが,台風の眼を狙っての観測というのもすごいなーと思いました
とても貴重なデータが得られており,面白かったです

長々と書いてしまいましたが,4日間本当に充実しました
次の秋の気象学会も楽しみです
北海道~

あ,写真がありませんね
お久しぶりのやきそば君との宴会の様子をお見せしましょう


P5288205.jpg








肝心のやきそば君,顔全く映っていませんが


ではでは
 
 

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三重大学 立花研
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
気候について追求する!
自己紹介:
三重大学 生物資源学部
共生環境学科
地球システム学講座
気象・気候ダイナミクス研究室です。

・普段は興味のある気象・気候について研究しています!!

・研究室への質問疑問などなどがありましたら、コメントでも拍手でも構いませんので遠慮なくカキコお願いします!(^0^)ノ

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