忍者ブログ

地球日記

三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/

   

京大乗船実習@伊勢湾と外洋

お久しぶりです.B4永川です.
先日,京都大学が勢水丸に乗って行なっている乗泉実習に参加致しました.
前回と名前こそ同じではあったものの,前回では強風で伊勢湾を出られていなかった点や,そもそも三重大,京大ともに参加者が大きく変わっている点など,内容に関しては異なる点がたくさんで,2回目の参加ながら初めてのような心持ちで臨むことができたように思えます.詳細に関してはここから述べていこうと思います.

初日
初日は前泊ということで,各自の自己紹介やゾンデなどの観測機器の設置などが行われました.今回の私はB4,すなわち昨年度の回では三重大生の指揮を行う立場であったということで,去年の先輩のようにうまく立ち回ろうと思っていたのですがなかなかそうもいかず・・・むしろなぜかB3の方がてきぱきと設置をしているという状況で,過去の自分の自分への甘さを痛感した次第でした.ただし悪いことばかりというわけではなく,本実習に先立って行った船員の方とのやりとりや現場でのやりとりなど,情報の通達などに関しては先輩の助力を借りながらではありますが自力で行うことができました.

二日目
この日は乱流計や流速計など,京大側が準備していた機器の組み立てや観測方法のレクチャー,および三重大側が準備したゾンデのレクチャーを行った後に練習を行うなど,本格的に実習の内容を行っていきました.
乱流計や流速計に関しては内容などが心なしか一部変わっている点などがあったように感じられました.また各機器にはそれぞれ正しい計測結果を得るため,機器に様々な意匠が施されているといったことを学ぶことができました.せっかくの機会ということで手書きしたものを添付してみます.

個人的になるほどと思ったのは乱流を計測するセンサが本体に2本搭載されているという点です.小さい乱流のランダム性を確認するために2本搭載するというのは盲点で,工夫を感じることができました.下部の楕円のような部分や最下部のふさふさした部分も試行錯誤の結果であるそうで,聞いていてとても面白かったです.また,先端のセンサに関しては船体との衝突などによって破損し,使用できなくなるということで消耗品という扱いになるにも関わらず,一本38万円(!!)という値段がするそうで,改めて観測機器の高額さを感じました.何をとってもなかなか高級品です.

機器の組み立てを行った後,乱流計,および流速計の練習を行いました.各機器が大型であることから,乱流計はクレーンを用いた観測を行っていたりと,一回の観測がなかなか大がかりな印象がありました.また,空に放てさえすれば結果が得られるゾンデと異なり,これらの機器では静止した船で数十分の観測,機器の回収などを行っていたため,各観測での所要時間もゾンデの回と比較して長めになる傾向があることも印象的でした.この次の日に行ったCTDでの観測などは1時間超の観測などを行っており,海洋のデータがネットで手軽にダウンロードできることのありがたみを改めて感じました.

海洋観測点の合間にゾンデや基本観測の練習も行いました.基本観測等,デッキでの作業に関してはゾンデを含めて身体がよく覚えてくれており,これといった難もなく教えられたのではないかと思います.ずっと苦手意識を持っていたガス入れのレクチャーができたことは個人的にすこし嬉しかったです.一方,三陸観測の時にあまり,というよりほとんど触れていなかったオペレータ等の作業に関してはやはり記憶から抹消されている部分が多く,野帳の書き方などに関しても記憶が薄かった部分は反省,復習する必要があるなと感じました.
余談ですが,私の乗船の大きな懸念として「船酔い」というものがあり,海の波によってほぼ毎回三半規管をぐちゃぐちゃにされています.今回もその例に漏れず,「ぼちぼち慣れたやろ」という一瞬の慢心をつかれ,心と三半規管をぐちゃぐちゃにされてしまいました.ただし今回の船酔いを通して,私が縦揺れにはそれなりに強く,横揺れに致命的に弱いことがようやく判明したので,今後「未来」を感じ取った際には波に合わせて体の向きを変えようと思います.次こそ負けない所存です.

三日目
前日の準備や練習を経た本番の日です.この日は終日内容盛りだくさんでした.
午前にはCTDの使用に先立って採水機の設置を行いました.以前からなんとなく目にしていたものながら設置は行ったことがないことに気が付かされ,良い勉強の機会になりました.この日の終盤に行ったCTDのオペレーションも含め,今回の実習ではCTDに関する知っていそうであまり知らなかったことを再確認するとてもいい機会であったように思えます.今後はCTDを行うとなったときにあたふたせずに対応できるようになりたいです.

また,CTDのオペレーションを行った際には京大の吉川先生からCTDのデータが示す各値の意味やその値が示す内容について教えて頂きました.今回は低気圧領域に船がある時に観測を行った関係から水温の混合層は鮮明に確認できなかったものの,溶存酸素ではきれに混合層のような層を確認することができました.このことが有機物の分解反応が水温の変化と比べて遅いことに起因するものであることを初めて知ることができ,勉強になりました.また,溶存酸素が極値を持つことに関しても,南極から運ばれてきた冷水が潜り込むことによって生まれるということも教えて頂きました.このことに関してもおそらく初めて伺う内容であり,海洋の循環が大規模であるということをデータから感じ取ることができたように思います.
本日行った観測では,2500mなど,深い位置までCTDを落としていたため,なかなか長時間の観測が続き,観測すべてが終了するころにはかなり疲労困憊といった印象でした.シャワーの後,自室で少し休憩するつもりが7時間ほど眠っていたようで,目が覚めたら深夜2時でした.結構な衝撃でした.

四日目
最終日はほぼ下船準備,および下船を行うといった内容でした.
この際に先輩から勢水丸でのデータの吸出しなどについて教えて頂きました,想像以上に多くの機器から様々なデータを取得しており,次回の際に先輩のようにうまくデータを持ってこれるか不安ですが,頑張っていきたい次第です.

今回の実習において,三重大はゾンデ使用のアシスタントとして参加していることに加え,前回と異なり自分がB4側であるということで,自身が教える側や表立つ側になることを普段以上に意識していたつもりなのですが,却って自身の中途半端なところが露呈してしまったり,心なしか空回りしているような気が少ししています.もうB4も残りわずかであり,修士になる日もまもなくなので,遅くともそれまでには後輩を脱却して,自身が教える側になるという心構えや実際のノウハウを持てるようにしていこうと感じました.

今回はこのあたりで終わろうかなという次第です.ありがとうございました.

拍手[0回]

PR

COMMENT

Name
Title
Mail(非公開)
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧

最新コメント

[01/11 tropopause]
[09/18 Kajikawa]
[07/25 井上裕介]
[07/25 Kajikawa]
[10/26 緒方]
[10/26 美山]
[10/17 プラダ 店舗]
[10/15 NONAME]
[10/12 juicy couture outlet sales]
[07/11 O型]

Instagram

ブログ内検索

カレンダー

10 2025/11 12
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
10 11 12 13 14 15
17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

プロフィール

HN:
三重大学 立花研
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
気候について追求する!
自己紹介:
三重大学 生物資源学部
共生環境学科
地球システム学講座
気象・気候ダイナミクス研究室です。

・普段は興味のある気象・気候について研究しています!!

・研究室への質問疑問などなどがありましたら、コメントでも拍手でも構いませんので遠慮なくカキコお願いします!(^0^)ノ

三重大学 Live Camera

空の写真 空の写真 空の写真

Twitter

Facebook

LINE

友だち追加
Copyright ©  -- 地球日記 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]