三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
お久しぶりです.B4の永川です.
先日,「百年の孤独」という本を読みました.初めは文庫本600ページという物量に面食らいましたが,展開に次ぐ展開,また人によって引き起こされる栄枯盛衰を辿った果ての結末を見て,よくこの内容を600ページにまとめられたな,と読み終わってから感じました.後日文学に詳しい友人とこの本について話を伺ったところ,本の内容のみならず,この本が書かれた背景や文学史といった観点からも様々なことを読み取ることができることを教えてもらえました.この本を教えてくれた友人に感謝です.
先日,ハビタブル日本豪雨豪雪班が行った,三陸沖での観測航海に参加してきました.この文章を書いている2025年7月22日において,様々なメディアでの報道が行われており,今回の観測の様々な意味での大きさを痛感している次第です.乗船を伴う観測という観点においても,今回の私の乗船期間は7日程度と過去最長,かつ東北沖という慣れない環境下での観測は決して楽しいだけのものではありませんでしたが,その一方で観測を経ての成長を強く感じることができ,非常に貴重な経験ができたように感じます.今回はその内容についての報告を行わせて頂こうと思います.
初日~観測開始まで
松阪を出港してから数日は観測地点までの移動日でした.その際に黒潮の上を通り,流れに乗って移動することを事前に知らされており,過去4回アタックしながらも一度も黒潮にお目見えすることのなかった私は「今回こそ!!やっと黒潮に遭える!!」と胸中わくわくマンモスでした.そんな様子で船上生活を行っていたところ,夕方ごろにはそれなりに船が揺れ始め,気が付いたころには完全に三半規管がやられてしまいました.いわゆる船酔いなのですが,事前にかなり強い酔い止めを服用していたにも関わらず,動くこともままならない程の強烈なものに襲われてしまいました.後から知ったのですが,その頃に船が黒潮上を通過していたらしく,黒潮特有の透明な海も,黒いといわれる水色も見ることは叶わず,エチケット袋の内側に見た,漆黒の記憶しか残りませんでした.悔しいです.
そんな船酔いだったのですが,観測メンバーとして選んでいただいた以上,「船酔いで観測できませんでした」ということでは大学で待機している同期などに顔向けできないと思っていたため気合で直し,なんとか観測開始までには調子を戻すことができました.今思うとよく回復することができたな…と我ながら感じます.
ワッチ初回
私の所属する班は夜ワッチということで,23時から11時まで一時間おきに観測を行いました.初めての徹夜での観測ということで,心構えだけは持っておいたものの,やはり深夜の2時あたりから抗い難い眠気に襲われました.さりとて放球をおざなりにするわけにもいかないので,気合で踏ん張って放球を行いました.この日は海が荒れ模様であり,風もなかなかに強かったため,放球そのものが大変であったことも印象深いです.朝5時頃の放球で初の放球失敗があり,夢現と絶望に苛まれながら再放球を行いました.この回から放球に一層の注意を払うようになり,どのようにすればミスなく放球が行えるか,また放球の際にはリカバリの必要が生まれる可能性がある,といったことを意識して行うようになった気がします.初回のワッチが終わるころには疲弊も最中といったところで,正直その後の記憶はあまり残ってないです.ベッドにかじりつくように寝たことはよく覚えています.
ワッチ二回目
初回での海況や体の負担を通し,戦々恐々として参加した二回目のワッチ.今回も一人ではバルーンを抑えることもままならない環境であるかと思っていたのですが,この日の海況は驚くほど凪であり,風速もほとんどないといった状況でした.そのため放球もかなり穏やかに行うことができ,平和だった記憶があります.天気もよく,朝焼けがとてもきれいでした.また,同乗していた博士の方や先生がしていたデータ解析に関する話を横で聞いていて,同じ現象を見ているのに見えていることがまるで違うということに改めて気が付かされました.こんな風に一つの現象や情報から様々なことが読み取れるようになり,考察が行えるようになるということが勉強するということなんだろうなと思いました.
ワッチ三回目
この日もすごく穏やかな海況でした.ワッチ初回から薄々感じていたことではありますが,これだけの回数の放球をこれだけの密度で行っていると,流石に各工程から無駄がなくなり,丁寧な作業をかなり早い時間で行えるようになっていました.ワッチ初回の際に教えてもらった時には全く上達の兆しが見えなかったもやい結びもワッチ二回目の後半あたりから少しずつできるようになり,ワッチ三回目の頃にはてきぱきとこなせるようになっていました.バルーンを抑える役回りに際しても,船での相対風速を聞けばおおよそどの程度の力で抑えればいいかといったことがわかるようになり,後半には自身の肌感覚と船上で計測された相対風速が一致しているかという遊びを行うようになっていました.たまに当たることがあり,嬉しかったです.ワッチ終了後に追加で行った観測の際にはマイクなどの役回りもある程度問題なくこなせるようになっており,デッキの活動は自身をもって行えるようになったと感じました.
私が今回の研究航海の観測で感じたことなどの概要は以上です.寄港直前,本当に最後の観測があった回の朝焼けが本当に綺麗で,観測を頑張った我々を労ってくれたような気がしました.今回は過去何度か参加した実習とは異なる,大きなプロジェクトに自身が選ばれ,与しているという自覚があったため,初めに船酔いを起こしたときは本当に自分が情けなく,正直泣きそうになる部分や弱音を吐きたくなる部分があったことはありましたが,今こうして徹頭徹尾やり切ったと胸を張って言えるようで本当に良かったと思っています.
最後に件の朝焼けの画像を添付させて頂こうと思います.
ここまで読んで頂き,誠にありがとうございました.
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