三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
お久しぶりです,D2天野です.
6月25日〜7月8日まで,勢水丸にて三陸沖へ行き,集中観測を行ってきました.
今回は,三重大 勢水丸,JAMSTEC 新青丸,東京大学大槌沿岸センターの3箇所で同時に,62時間(2日半)にわたり連続観測を行いました.
この記事では,
・航海中のメモ日記
・ヤマセを追い求めて
の2本立てでお届けします.
※書きたいことがたくさんあり,めちゃくちゃ長くなってしまっています.ご承知おきください.
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※ハビタブル日本HPにて,活動報告「2025年夏 三陸沖観測キャンペーン」と題した記事投稿も航海中行っていました.日記の内容に関連する投稿には,リンクを貼り付けています.
【目的】
ここ2〜3年で急速に温度が上がっている三陸沖の海.
そこで形成される水温前線(温かい水と冷たい水の境)が大気(やませなど)に与える影響を調べるのが狙いでした.
【乗船メンバー】※寄港地で交代したメンバーも含む
本田明治先生(新潟大教授)
立花義裕先生(三重大教授)
西井和晃先生(三重大准教授)
小川史明先生(三重大助教)
春日悟さん(三重大研究員)
若尾和哉さん(北大D2)
天野未空(三重大D2)
藤島遼人さん(東北大D1)
石橋尚澄さん(九州大M2)
阪下博規さん(海洋大M2)
滝川真央さん(三重大M2)
小山初菜さん(東大M2)
澤永一樹さん(東北大M1)
吉田伊吹さん(三重大M1)
富田蒼さん(三重大M1)
中尾優心さん(新潟大B4)
坂本岳央さん(新潟大B4)
永川賢多郎(三重大B4)
河合奈々美さん(三重大B3)
岸琴心さん(三重大B3)
+報道陣4名
6月25日(水)出港日
伊良湖を出次第荒れ始める.
熱低化した台風の後ろをついていく形になっているため,大しけ.
お昼ご飯はそれなりに食べられた.夜ご飯は食べられなかった.ゼリー飲料で凌ぐ.
ほとんどの学生がダウン.
陸沿いに進み大島・房総半島を目指す.
6月26日(木)
朝方大きく揺れて,各部屋のものが落ちたり倒れたりする音で起きる.
昼前,千葉・犬吠埼を過ぎてから揺れがぴたっと止む.凪.
お昼ご飯がまともに食べられる.
13時半〜練習も兼ねた放球が決まる.
計6発の放球を行う.解析などの練習,議論も行なった.
集中観測に向けた最終調整となった.
6月27日(金)同時集中観測開始
お昼過ぎに,全員で写真を撮る.観測に備えて各自休息を取る.
tachi balloonとhonda balloonが出現.
16時半〜集中観測開始.1発目の放球が無事成功.
今回は昼11時交代の2ワッチ制.
私が属する夜ワッチは夜23時〜昼11時まで.
23時〜ワッチ開始.
海がしけている.風が強く放球隊がしんどそう.
失敗放球がいくつかあったが,いずれも再放球成功.
他大の学生にも積極的にオペレーターを覚えてもらう.
冷水域では,「涼しい」「寒い」という体感.この体感が得られて嬉しい.
6月28日(土)
朝日が曇天で見えない,残念.(これだけが夜ワッチの楽しみなのに…)
バケツ採水のデータを随時図にして,それをモチベーションに頑張っている夜ワッチメンバー.
12時間ぶっ通しは疲れた.
昼に船長・先生方と航路の議論,解析議論が入る.
観測隊長は夜ワッチじゃない方が良かったなと悟る.
夕焼けが綺麗.
23時〜ワッチ開始.
海,凪.昨日よりも観測がしやすい.
6月29日(日)
日付が変わった頃,流し網漁をしている漁船から無線が入る.
網の上は,エンジンなどに絡まる可能性があるため航行できない.
立花先生,本田先生に起きてもらい,航路の変更を行う.
今までの観測で,他の漁船と鉢合わせしていないのが不思議なだけだったか…こんな凪なら他船が出るのは当然か…と思う.
てんやわんやしたが,放球等は予定通り行う.
昼の解析議論では,航路変更を行なった測点について,
潮目で1番測りたかった測点だったな,漁船もそこを狙うのね,
やっぱ魚がいるのかな?などの声が飛ぶ.
23時〜ワッチ開始.
6月30日(月)同時集中観測終了,新青丸とのランデブー,勢水丸のみの集中観測①開始
今晩も同じく漁船団に行く手を阻まれる.
やはり,私たちが狙う水温前線=漁船団が狙う魚の群れがいる場所 なのか…?!
本田先生に今晩も起きていただき,航路の変更を行う.判断の基準など勉強になる.
朝焼けが綺麗.夜ワッチで記念写真を撮る.
最後の測点(大槌付近)で陸にびっしり張り付くように下層雲が発生しているのが見える.観測始まって以来の,はっきりとした下層雲に感動する.
午前10時ごろ,新青丸とランデブー.ベタ凪.
初めてお目にかかれた新青丸.そして,今までにないくらい船同士が近い!
「岡さーん!」と叫ぶと,返事が返ってくる^^ 楽しい.
新青丸をバックに写真を撮る.UWの旗(「ご安航を祈る」の意)を互いに掲げる.
19時半〜 勢水丸のみでの集中観測.
大船渡付近を東から西に横断.北から陸に沿って来ている(であろう)親潮系の水を捉えたい目的.
船の灯りに釣られてウミネコ?が飛んでいる.漁船と間違えているだけだそう.
電光掲示板をつける余裕が出てくる(集中観測中はそれどころじゃなかった).
7月1日(火)塩釜港入港
金華山を越えてから非常に暑い!仙台湾で温かい水が堰き止められていることを体感する.
陸に近づくにつれてさらに暑くなってくる.これまでの海上が涼し過ぎた.
13時 塩釜港入港
前半メンバーで写真を撮る.
節水が呼びかけられたこともあり,温泉に行く.シャワーから水がジャバジャバ出てくるのを喜ぶ(感覚が麻痺しているな…)
7月3日(木)ウミガメの積み込み
大槌センターからウミガメが運ばれてくる.クレーンを使って積み込む.
このウミガメ放流は,京大 吉田さんから,東大 大気海洋研究所の佐藤克文先生を紹介していただき実現した.
積み込み時に佐藤先生に伺ったところ,船を使っての沖への放流は,2008年に新青丸でやって以来だそう(驚).
この日は,東北放送さんにウミガメ,観測に関することを取材していただき,その対応もする.夕方,取材を受けた内容が放送される.
⭐️⭐️放送内容はこちらから⭐️⭐️↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/2022263
7月4日(金)
船長,航海士,先生方と,小山さんとウミガメ放流地点の議論をする.
小山さんは,佐藤先生の研究室の学生さんで,ウミガメのバイオロギングの研究を行っている.
夜,西川さんが勢水丸に…!
学生室で観測の労を労いあう.
私は地元が宮城県.それもあって今朝,母と祖母がお見送りに来てくれた.
船員さんに許可をもらい,船内を少しだけ案内できた.初勢水丸に大興奮していた,少し親・祖母孝行.
西川さんや塩釜で下船した岸さんも見送りに来ていただいた.
見送りの人がいると,船で出て行くのがすごく名残惜しくなるねと,みんなで話す.長音1回の汽笛を鳴らす.
夕方,ウミガメの放流開始.3地点に計5匹の亀を放流.
23時〜勢水丸単独での集中観測開始.宮城〜福島の水温前線を狙う.
7月6日(日)全観測終了,帰路へ
夜明け前から下層雲がはっきり見え始める.この観測の中で1番濃い霧,体感もとても寒くて,感動する.あるところには霧があるもんだ.
←ブロッケン現象!
5:00頃ブリッジに行くと,潮目と思われる写真が撮れた.
朝6:30観測終了.全92放球が終了.
ウミガメ放流から,12時間全員でぶっ通しで動いていたので体力が限界.みんな倒れ込むように寝る.船は帰路につく.台風から逃げるように陸に沿って航行.思っていたより揺れない.日付が変わる頃には房総半島を過ぎる.
三陸沖観測キャンペーン #22←ラスト放球,ウミガメ放流の動画はこちらから.
7月7日(月)
今日は研究発表会.今回の観測に関するものから,普段各々がやっている研究まで,話題は多様.私は,昨晩の観測を,写真で紹介する形式にして発表.
夕方,片付け作業を行う.17時過ぎには松阪港沖に錨泊.海釣りをみんなで楽しむ.七夕飾りが映える.みんなでトランプで遊ぶ.
7月8日(火)帰港
松阪港に帰港!集合写真を撮る.
みんなで新玉亭へウナギを食べに行く.
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私は,学部生の頃から「冷夏」をキーワードに研究を続けてきました.
それもあって,今回の観測には楽しみと同時に,不安も抱いて臨みました.
年々気温が高くなり,陸地での霧発生日が減少傾向にあるというデータを見聞きし,自ら解析する中で,「現地に行って,本当に霧や冷気を見たり,感じたりできるだろうか?」という疑問がありました.
従来の寒い「ヤマセ」,温かい海の影響を受けた「暖かいヤマセ」——どちらにも出会えるのか,不安と期待が入り混じりながらの航海をスタートしました.
結果として,実際に霧が観測できただけでなく,
従来の冷たいヤマセ,そして暖かいヤマセ,それぞれを彷彿とさせるような体感を得る場面がいくつもありました.
「陸に来ていないだけでヤマセは今もあった」「ああ,これなら冷夏になり冷害が出るのも納得だ」「これは温かい海の影響を受けていそうだ」そんな気持ちが自然と湧き上がるような瞬間が,何度もありました.
この体感を得たことを糧に,現在,観測データの解析を進めています.
自分の得た体感を,データ・図によって伝えたい…!
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いかがだったでしょうか?
観測の雰囲気,臨場感伝わったでしょうか?
ハプニングもあったものの,充実した観測を行い,貴重なデータを得ることが出来ました.
航路の変更にも迅速に,快く対応していただいた勢水丸の船員の皆様,
本田先生,立花先生はじめ,観測隊メンバー,
事前準備から事後片付けまで協力してくれた立花研の全学生,
そのほか多くの関係者の皆様に,心より感謝申し上げます.
また今回は初めて,勢水丸における「観測隊長」という形で乗船させていただきました.
3年前の東シナ海梅雨集中観測の時は,ついていくので精一杯でしたが,
今回の航海では,観測隊を引っ張る立場として行動できたかなと思います.
未熟な点はまだまだ多いものの,前回の観測と比べて,大きく成長することが出来ました.
&また観測行きたいな〜!
今回の記事は終わりたいと思います.
こんにちは,B4の永川です.
気が付いたら夏になっていました…光陰矢の如しを痛感している次第です.
もう先日といっていいか不安なところですが,先日の5/7から5/9にかけて,和歌山県の潮岬で行われたゾンデ講習会に参加してきました.
この講習会,ひいては潮岬自体に向かうのは今回が初めてであったため,ドキドキとワクワクを胸に参加させて頂きました.その報告を行わせて頂きます.
解析ワークショップ&AFESワークショップ
私の振り分けられた班では始めに過去の実習などを通してゾンデで得たデータを用いて解析を行う,というワークショップを行いました.用いたものはPythonコードで,インターネットのつながらない環境を想定して,ローカル環境下で動作するような環境をパソコンに設定するということを事前準備として行いました.普段趣味としてPythonを使うことはあるものの,実際の解析ということをしたことはなかったので,それらに向いたライブラリのインストール方法やそれらライブラリの意味,venvやCondaといった環境の違いなど,準備過程のあらゆる場面が非常に良い勉強になりました.また,準備の過程で一度パソコン内に仮想環境を立てる機会があったのですが,これについても非常に良い勉強になり,「仮想環境ってこういうものだったんだ!!」と,仮想環境そのものについて,また仮想環境を立てる意味や立て方など,試行錯誤を通して様々なことを学べました.余談ですが,今回の準備のあれこれを通して,他大を含めた周囲の方々が「Linuxがいい」といっていた気持ちがなんとなくわかりました.普段扱うコマンドが入力しやすい・・・.
これらの準備を終えた上で,会場では実際にPythonコードを実行し,解析結果の出力,各解析結果の考察などを行いました.今回の解析ではゾンデの軌跡やエマグラムなどが出力されており,それらの図の見方,意味の解説についても行って頂きました.個人的にはエマグラムの図の見方がいつも曖昧になっていたため,今回解説して頂けたのはとてもありがたかったです.今度参加する乗船実習の際にこの知識を活かせたらいいなと思います.また,今回の解説を通して野帳の重要性について理解することができました.今回の講習会では事前に準備されたサンプルデータが用いられていたため,気温,湿度などといった数値データ以外の情報は野帳に記載されていた内容からのみ把握することができ,船上と上空の風向きの違いなど,その情報から考察が進むこともありました.昨年度の実習などの際には打ち上げに関する仕事で手一杯で,野帳の意味などを考えることができていなかったので,次回の実習などでは野帳についても後の人が現地の状況を捉えやすいように丁寧に記載していこうとおもいました.
お昼を終えた後に行われたAFESに関してのワークショップについても学べることがたくさんありました.この回ではAFESのデータが準備されており,これを用いた解析結果の出力などを行いました.午前に行われたものと異なる点として,こちらではPythonコードも自力で書いてみるという側面があり,私自身がどの程度画像を描けるか,という自身の力試しになりました.初めは何をすればいいかわからず面食らったものの,扱うものの実態がデータであることをしっかりと認識できるようになってからはなんとか指針を立てられるようになり,最終的には結果の出力を行うことができました.うれしかったです.私が今後扱っていきたい内容が大気海洋相互作用について少し触れる部分があるため,もっとAFESについて勉強し,上手に扱っていけるようになる必要があると感じました.
ゾンデ打ち上げ講習
解析とAFESについての講習会の後,ゾンデの打ち上げの講習を行いました.講習会では乗船実習などの場合と同じようにオペレーター,打ち上げ隊の二組に分かれ,それぞれが連携して講習を行いました.今回の打ち上げは私が普段行っている船上での打ち上げとは異なり陸上であったことから,足元の安定感やコンクリート上での作業など,普段と違うと感じる場面は少なくありませんでした.特に足元が安定しており,急な揺れに備えなくてもいいというのは個人的にありがたく,どのように風船を膨らませるのか,ゾンデと風船の結合部分はどのように結ぶのか,といったことの理解に集中することができました.また,オペレーター,打ち上げ共に,一連の流れについて再確認することができ,非常に良い経験をすることができたと感じております.先述の野帳に関しての理解を経てからであったため,野帳の記録についても意識を高く持って練習することができました.
潮岬は海辺ということもあり,海が綺麗だったことが印象的でした.紀伊半島の自然に触れるたび,その可能性に驚かされるばかりです.
以上が潮岬で経験したことの概要になります.ここまで読んで頂きありがとうございました.
こんにちは、B4の濱口翼です。
昨日は、東海地方で線状降水帯が発生する可能性があるとの情報があり、大学からなるべく早く帰宅するようお達しがありました。三重県では夕方から深夜にかけて大雨でしたが、電車が止まるほどではありませんでした。一方、愛知県では知多半島や豊田方面で電車が止まるなど、かなり激しい雨だったようです。近年、豪雨のような気象災害が増えていることを、昨日の大雨で改めて実感しました。
さて、今回は6月25日から7月2日まで、岩手県大槌町にある東京大学大槌沿岸センターで行った集中観測についてです。
この集中観測は、私が参加した大槌での観測に加え、三重大学の勢水丸とJAMSTECの新青丸の2隻と同時観測を行いました。勢水丸には同じ研究室のメンバーが乗船していたので、後日、そちらの観測内容が共有されると思います。私が今回報告する大槌での観測と勢水丸の観測内容を比較してみるのも面白いと思います。
観測メンバーは基本的に修士課程の学生で構成され、大学の先生や研究所の方を合わせて3名、そして学部生は私を含め2名でした。
今回の集中観測では、私は学生の解析隊長のような役割を担いました。この観測に興味があり参加を決めたので、せっかくならその結果を詳しく見てみたいという思いから解析隊長に立候補したのですが、初めての経験で非常に不安でした。また、三重県から大槌センターまでは非常に遠く、出発が早かったため、前日はほとんど眠れない状態でした。個人的には「かなり心配なスタートだな」と感じていましたが、一緒に観測を行ったメンバーの皆さんが様々に助けてくださり、不安な気持ちも徐々に解消されていきました。観測メンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
観測を行った東京大学大槌沿岸センターおおつち海の勉強室
大槌で行った集中観測では、ゾンデという気温や湿度、GPSを使った風速・風向などの気象データを取得できる機器を風船に取り付け、上空の様々な気象データを取得しました。集中観測の名の通り、当初は3時間ごと、途中からは1時間ごとにゾンデを取り付けた風船を放球しました。1時間ごとの観測は最長62時間連続で行われたため、3つの班に分かれて放球を続けました。また、ゾンデから得られたデータからどのような現象が捉えられたのか、さらに天気図なども利用してなぜそのようなデータが得られたのかを、観測の途中で解析も行いました。
ここからは、観測期間中に特に印象に残った出来事を紹介したいと思います。
まず、2日目に副虹が出たことです。夕方、少し時間があったので1日目に得られたデータの解析を行っていたところ、突然「虹すごい」という短いメールが届きました。何だろうと思い外に出てみると、これまでに見たことのないような美しい副虹が出ていました。このメールを見た観測メンバーは全員外に出ており、皆で写真や動画を撮っていました。私も思わずシャッターを切ってしまうほどの副虹を見られたのは、観測に来て良かったと思える出来事でした。
次に、観測期間中に霧がだんだんと海からやってきて湾内が霧に包まれる一部始終を見られたことです。霧が見られたのは4日目の朝で、私が1時間観測の担当をしているときでした。観測場所の近くに瓢箪島という観光スポットがあるのですが、そこがだんだんと霧に包まれていき、非常に幻想的でした。また、この時だけ地上付近のゾンデのデータが普段と異なるものであったため、その点も含めて非常に興味深かったです。(余談ですが、私と同じ班であった気象研究所の研究者の方は、2日目の午後から5日目の朝までと短い期間しか参加できなかったのですが、珍しい現象がいる間に起きたため、他の観測メンバーであった大学の先生からも「持ってるな」という感想が出ていました。)
また、大槌センターでウミガメの研究を行っているチームが同じ時期に滞在していたので、ウミガメについても見学させていただきました。今回見学させていただいたウミガメは、三陸沖にある定置網に引っかかったウミガメを漁師の方から譲り受け、計測といった生体調査や、バイオロギングといった生態調査を行っているそうです。基本的に2〜3ヶ月間大槌に滞在するとのことでした。ウミガメは生きている年齢がわからないなど、謎なことが多く、様々な研究を行う価値があるというお話を、ウミガメの研究を行っている学生の方から伺いました。普段私が研究している分野とは全く違う世界で、とても面白かったです。
今回の観測を通して感じたことは、研究を行うにしても、実際に感じたり、得られたデータを見て不思議に思ったことをすぐに議論することがいかに重要かということです。先述の霧であったり、夜に見た夜空であったりと、刻々と変化する空や気象の様子は、新たな発見を生んだり、普段行っている研究がどのようなものなのかを知れたりと、今後の研究のモチベーションにつながったと思います。また、霧が発生した時とそうでない時の違いや、海のほうでは霧が出ていたのに私たちが観測していた場所にはやってこなかったりと、疑問が生まれることも多くありました。現在行っている研究がうまくいっていない(これは自分の責任ですが)ということもあり、また解析隊長をしていたこともあり、今回の観測の結果で何か新しい研究ができないかと考えています。
最後に、この記事をご覧になっている方にお伝えしたいことがあります。それは、観測といった貴重な機会があったら、積極的に参加してほしいということです。私は運の良いことに学部生でこの集中観測に参加することができ、非常に貴重な経験をさせていただいたと思っています。皆さんも、このような貴重な経験をすることができるならば、ぜひ積極的に参加してほしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
PS:勢水丸で集中観測を行っていた立花先生が、船の中でテレビのVTR出演をしたり、寄港後にリモートでテレビに生出演したりと、どれだけ体力があるのかと驚きを通り越して引きました(笑)。