三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
こんにちは.M1吉田です.
今年も一段と,異常に暑いですね.
2025年夏に実施された三陸沖観測キャンペーンに参加しました.
ターゲットは,近年異常な高温を示している三陸沖の海です.
海面水温の実態と,そこに形成される水温前線が大気に与える影響を調査しました.
陸は暑いですが海は結構涼しかったです.半袖だとしんどいくらい.
でも普段はもしかしてもっと寒いのかも?
私は6/25-7/8の2週間,勢水丸に乗船しました.
学生が多いので,わいわいしながら,ラジオゾンデによる大気観測と,XCTD・バケツ採水による海洋観測を行いました.
その地点数なんと約100!
集中観測中は62時間にわたる1時間毎の連続放球に,昼夜の2ワッチを組んで臨みました.
船の揺れは,行きの道中がピークでした.
黒潮や熱帯低気圧の影響を受け,千葉沖でピークを迎えます.
しかし航海が進むにつれて,だんだんと穏やかになっていきました.
集中観測前半はまだうねりがあり,北風も強く,工夫しながら観測をしました.
後半は波がまったくなくなり,海面がまるで鏡のような凪でした.
観測はしやすいですが,今度は漁船が増えて航路の変更を余儀なくされました.
解析も結構大事だということがわかりました.
今まで実習でも何となく解析して参加者に結果を紹介していましたが.
まず,自分たちのモチベーションになります.
観測結果から水温前線を予測して,次は上がりそうだとかいや全然上がらなかったとか,ああだこうだ言いながらやるのが面白かったです.
あと解析しながら新しいことを思いつくと,余った物資で追加観測ができ,それも一つの成果になります.
次の機会があれば頑張りたいです.
この観測で私が何をしていたかというと,現象を体感するということに全力を注いでいました.
揺れは座ると感じやすいです.黒潮の揺れは航路が同じなのに行きと帰りで明らかに違くて,帰りの揺れなさが不思議でした.
夜の観測は暗くて周りの様子が分かりにくいですが,星を頼りに野帳を埋めました.
服装を統一して気温を感じると,水温前線手前で突然生暖かい風が‼......船の排気でした笑.食事の後も体温が上がってしまい,感じるのは気温が一番難しかったかもしれません.でも陸の近くでは気温が急上昇し,明らかに体感も変わりました.
水温は寄港地の温泉で間接的に体感しました.観測した20℃は水風呂ですね.
私からの報告は短めに,ここまでです.
小さな船で参加者の方々と協力し,親睦を深めることもできました.
観測の合間にみんなで見た日の出とイルカの群れが忘れられません.
この体験を成果につなげるために,解析にも力を入れたいです.
読んでいただきありがとうございます.
こんにちは.M1吉田です.
5月頭にあった潮岬ラジオゾンデ講習会について書きます.
早朝からいくつかの班に分かれて,放球と受信と解析の練習をしました.
受信ソフトは毎度おなじみのものでしたが,参加者の質問を聞いていると,普段そういうものだとスルーしていたけれど言われてみれば何でだろう,ということが結構ありました.
詳しい方々の話を聞いて,知識が増えました.
解析は本当に準備が大切ですね.
今回手取り足取り教えていただいたお陰で,小川先生の紹介で三重大の富田くんが提供してくれたスクリプトを,動かせるようにまでなりました.
船で動かないということが無いように,これから方法を自分の中で整理していきたいです.
最後,我々が放球班でしたが,立花先生たちの提案で3コ同時放球をしました.
相当な収束・発散がない限り,それぞれは離れずに飛んでいくという予想の通り,3コは団子になって飛んでいきました.
休憩時間は潮岬の自然を楽しみました.
黒潮大蛇行が不安定になっている時で,黒潮見えるのでは?と海に行きましたが,よくわかりませんでした.
暖かい陽気で,上空にはトンビが上昇気流を捉えて回っておりました.
以上です.
楽しみつつ良い練習ができたと思います.
最後まで読んでいただきありがとうございます.
お久しぶりです.B4の永川です.
先日,「百年の孤独」という本を読みました.初めは文庫本600ページという物量に面食らいましたが,展開に次ぐ展開,また人によって引き起こされる栄枯盛衰を辿った果ての結末を見て,よくこの内容を600ページにまとめられたな,と読み終わってから感じました.後日文学に詳しい友人とこの本について話を伺ったところ,本の内容のみならず,この本が書かれた背景や文学史といった観点からも様々なことを読み取ることができることを教えてもらえました.この本を教えてくれた友人に感謝です.
先日,ハビタブル日本豪雨豪雪班が行った,三陸沖での観測航海に参加してきました.この文章を書いている2025年7月22日において,様々なメディアでの報道が行われており,今回の観測の様々な意味での大きさを痛感している次第です.乗船を伴う観測という観点においても,今回の私の乗船期間は7日程度と過去最長,かつ東北沖という慣れない環境下での観測は決して楽しいだけのものではありませんでしたが,その一方で観測を経ての成長を強く感じることができ,非常に貴重な経験ができたように感じます.今回はその内容についての報告を行わせて頂こうと思います.
初日~観測開始まで
松阪を出港してから数日は観測地点までの移動日でした.その際に黒潮の上を通り,流れに乗って移動することを事前に知らされており,過去4回アタックしながらも一度も黒潮にお目見えすることのなかった私は「今回こそ!!やっと黒潮に遭える!!」と胸中わくわくマンモスでした.そんな様子で船上生活を行っていたところ,夕方ごろにはそれなりに船が揺れ始め,気が付いたころには完全に三半規管がやられてしまいました.いわゆる船酔いなのですが,事前にかなり強い酔い止めを服用していたにも関わらず,動くこともままならない程の強烈なものに襲われてしまいました.後から知ったのですが,その頃に船が黒潮上を通過していたらしく,黒潮特有の透明な海も,黒いといわれる水色も見ることは叶わず,エチケット袋の内側に見た,漆黒の記憶しか残りませんでした.悔しいです.
そんな船酔いだったのですが,観測メンバーとして選んでいただいた以上,「船酔いで観測できませんでした」ということでは大学で待機している同期などに顔向けできないと思っていたため気合で直し,なんとか観測開始までには調子を戻すことができました.今思うとよく回復することができたな…と我ながら感じます.
ワッチ初回
私の所属する班は夜ワッチということで,23時から11時まで一時間おきに観測を行いました.初めての徹夜での観測ということで,心構えだけは持っておいたものの,やはり深夜の2時あたりから抗い難い眠気に襲われました.さりとて放球をおざなりにするわけにもいかないので,気合で踏ん張って放球を行いました.この日は海が荒れ模様であり,風もなかなかに強かったため,放球そのものが大変であったことも印象深いです.朝5時頃の放球で初の放球失敗があり,夢現と絶望に苛まれながら再放球を行いました.この回から放球に一層の注意を払うようになり,どのようにすればミスなく放球が行えるか,また放球の際にはリカバリの必要が生まれる可能性がある,といったことを意識して行うようになった気がします.初回のワッチが終わるころには疲弊も最中といったところで,正直その後の記憶はあまり残ってないです.ベッドにかじりつくように寝たことはよく覚えています.
ワッチ二回目
初回での海況や体の負担を通し,戦々恐々として参加した二回目のワッチ.今回も一人ではバルーンを抑えることもままならない環境であるかと思っていたのですが,この日の海況は驚くほど凪であり,風速もほとんどないといった状況でした.そのため放球もかなり穏やかに行うことができ,平和だった記憶があります.天気もよく,朝焼けがとてもきれいでした.また,同乗していた博士の方や先生がしていたデータ解析に関する話を横で聞いていて,同じ現象を見ているのに見えていることがまるで違うということに改めて気が付かされました.こんな風に一つの現象や情報から様々なことが読み取れるようになり,考察が行えるようになるということが勉強するということなんだろうなと思いました.
ワッチ三回目
この日もすごく穏やかな海況でした.ワッチ初回から薄々感じていたことではありますが,これだけの回数の放球をこれだけの密度で行っていると,流石に各工程から無駄がなくなり,丁寧な作業をかなり早い時間で行えるようになっていました.ワッチ初回の際に教えてもらった時には全く上達の兆しが見えなかったもやい結びもワッチ二回目の後半あたりから少しずつできるようになり,ワッチ三回目の頃にはてきぱきとこなせるようになっていました.バルーンを抑える役回りに際しても,船での相対風速を聞けばおおよそどの程度の力で抑えればいいかといったことがわかるようになり,後半には自身の肌感覚と船上で計測された相対風速が一致しているかという遊びを行うようになっていました.たまに当たることがあり,嬉しかったです.ワッチ終了後に追加で行った観測の際にはマイクなどの役回りもある程度問題なくこなせるようになっており,デッキの活動は自身をもって行えるようになったと感じました.
私が今回の研究航海の観測で感じたことなどの概要は以上です.寄港直前,本当に最後の観測があった回の朝焼けが本当に綺麗で,観測を頑張った我々を労ってくれたような気がしました.今回は過去何度か参加した実習とは異なる,大きなプロジェクトに自身が選ばれ,与しているという自覚があったため,初めに船酔いを起こしたときは本当に自分が情けなく,正直泣きそうになる部分や弱音を吐きたくなる部分があったことはありましたが,今こうして徹頭徹尾やり切ったと胸を張って言えるようで本当に良かったと思っています.
最後に件の朝焼けの画像を添付させて頂こうと思います.
ここまで読んで頂き,誠にありがとうございました.
こんにちは、B3の岸です。
今回は、6月25日から7月6日にかけて行われた三陸沖の集中観測についてお話します。
6月24日、出港前日。松阪港へ行き、勢水丸に観測機材を積み込みました。三重大の先輩たち、立花先生、春日さん、天野さん、他大の先輩方と協力して荷物の積み込みや観測機器の設置を行いました。午前中から作業を始め、昼休憩をはさんで午後も作業を続けました。昼休憩の際、松坂港近くの中華料理屋「不二家」で食べた冷やし中華が美味しかったです。ちなみに、「不二家」の近くのアイスクリーム屋さんで誘惑に負けて、アイスも食べました(笑)。
25日、出港の日。松阪港に到着後、ヘリウムボンベを積み込んで出港しました。普段はボンベの数が少ないので人力で艫からデッキに運んでいましたが、今回は数が多かったためクレーンを使いました。出港後、三陸沖の集中観測地点へ向けて全速力で進みました。朝10時過ぎには松坂港を出港しましたが、昼過ぎには伊良湖水道を抜けて太平洋へ!外洋に出ると、次第に船酔いに苦しむ人が増えていきました。
26日、前日晩に台風から変わった温帯低気圧の影響で海は大しけでした。朝起きると船の最大傾斜は36°だったという報告が。さすがにここまで船が傾くと、ブリッジでは固定されていなかったパソコンが宙を舞ったそうです。自分たちの部屋でも机の上に置いてあったものは床に落ち、椅子は倒れ、部屋の中は悲惨な状態に…。こんな揺れでは船酔いでほとんどの人がダウンし、集中観測が成り立つのか少し不安でした。しかし、集中観測は翌日からのため、昼過ぎから放球練習を開始しました。最初はゾンデの蓋が外れてしまうなど失敗も多く、事前に練習しておいて良かったと思いました。観測中、右舷側に大きな虹が現れ、たくさん写真を撮りました。私たち、昼ワッチ班は夜19時の観測が終わると、翌日からの集中観測に備えて早めに就寝しました。
27日、集中観測開始!これまで船酔いでダウンしていた人も回復し、無事に観測が始まりました。16時から観測がスタートし、昼ワッチの私たちは22時半の放球で夜ワッチ隊に交代しました。観測後も取れたてのデータを使って少しずつ解析を進めました。まだ解析に慣れておらずエラーで苦戦しましたが、春日さんや先輩方に助けてもらいながら作業しました。自分たちで取ったデータの解析は愛着が湧きました。
28日、集中観測2日目。朝起きると徹夜明けの夜ワッチの人たちの疲れ切った顔が…。前日の昼ワッチの時間帯は比較的波も風も穏やかでしたが、朝方は風と波がひどく、ゾンデが何度か着水してしまったようです。昼ワッチで良かったと思いつつ、夜ワッチの放球の様子を動画に撮ったり、ブリッジで船員さんと話したりして11時からの観測までの時間を過ごしました。11時から夜ワッチと交代し、昼ワッチが観測開始!これまでの夜ワッチの様子からゾンデが着水しないか不安でしたが、ちょうど交代した頃から風と波が穏やかになり、ほとんど失敗せず順調に観測が進みました。12時半からはそれまでのデータを使った解析議論がありましたが、昼ワッチは観測中だったため途中参加となりました。その後も特に問題なく観測は進み、この日は夕焼けがとても美しく見えました。22時半の観測後、ワッチを交代し学生室で解析を進めていると、航路先に漁船がいるとの報告があり、回避のため航路が少し変更になりました。なぜトラブルは必ず夜ワッチの時に起こるのか、たまたまだろうけど不思議に思いました。
29日、集中観測3日目。私たち昼ワッチはこの日の22時半の放球で集中観測を終えます。夜ワッチからパソコンの調子が悪いと聞いていたので操作担当が不安でしたが、交代後は特に問題なく順調に観測が進みました。16時半放球の準備中、目の前にイルカの群れが現れました!乗組員さんによると、勢水丸が作る波で遊んでいるとのこと。見られたのはカマイルカだったそうです。確かに背びれの部分がカマのような形になっていました。野生のイルカを間近で見たのは初めてで、感動してこれまでの観測疲れが吹き飛びました。20時頃、再び航路上に多くの漁船が連なっていることが判明し、航路を大幅に変更することになりました。ちょうど潮目となっている場所だったため魚がたくさん取れたのかもしれませんが、一番データが欲しかった場所だけに残念でした。航路変更などのトラブルはありましたが、この日も無事に観測を終えて夜ワッチに交代しました。
30日、集中観測最終日。朝5時半のラスト放球を見学するために早起きしました。起きると、1時間ほど前に朝日と一緒にイルカが見えたとの報告が!私はその時間ぐっすり寝ていたので、後から写真を見せてもらいましたが、写真だけでも美しかったです。
集中観測が終わり、一緒に観測していた新青丸と合流して上空からドローンで記念写真を撮ることになりました。2隻の船は大声で叫ぶと声が届く距離まで接近!初めて見る新青丸は想像を超える大きさでした。
この日の夕方19時半から塩釜港に向かう間も観測をすることになりました。途中、漁具が多く中止になった観測点もありましたが、順調にデータを取ることができました。XCTDの代わりにCTDを利用したり、両方を同時に行ってデータの誤差を調べたりもしました。水深2000m地点でのXCTD観測は時間がかかりランチャーを持つ人が大変でしたが、港に近づくにつれ水深が浅くなり、作業の負担も減りました。夜中3:30の放球で一度夜ワッチに交代した後、6:30の放球から再び昼ワッチが担当し、8:30の放球を最後に勢水丸は塩釜港へ向かいました。
7月1日〜4日、塩釜港に寄港。1日の昼過ぎに入港し、5日の出港まで周辺をたっぷり観光しました。お寿司や海鮮丼、牛タンを食べたり、水族館、松島、仲卸市場に行ったりと、思う存分楽しみました。最も印象に残ったのは塩釜で食べたお寿司で、ネタが驚くほど大きく、今まで食べた中で最高においしかったです!あまりの美味しさに2日連続で食べに行きました。
5日、勢水丸出港。私はもともと塩釜港で下船予定だったので、この日は出港を見送りました。前日に集中観測を共にした新青丸から連絡があり、観測機器を函館の新青丸まで届けてほしいとのことで、ちょうど塩釜で降りる予定だった私が担当することに。同じく出港を見送りに来ていた西川さんと勢水丸を見送った後、西川さんから貴重なお話を伺いながら仙台駅まで行き、そこから函館行きの新幹線に乗りました。北海道には何度か行ったことがありましたが、函館は初めてでした。函館到着後、駅で待ち合わせていた吉田さんに荷物を届け、函館駅でラッキーピエロを食べました。マックのハンバーガーと比べるとかなり大きく、具材もぎっしり詰まっていて美味しかったです。
6日。この日は五稜郭を観光した後、昼過ぎの飛行機で三重に戻る予定でした。函館駅から五稜郭へ初めて路面電車に乗りました。路面電車はバスのような感覚だと思っていましたが、特にカーブでバスより揺れる気がしました。五稜郭に着くとまず五稜郭タワーに登り、上から全体を見学しました。実際に見るまでは星形になっているというのを半信半疑でしたが、実際に見ると美しい星形で驚きました。想像より大きかったです。タワーからは五稜郭だけでなく函館の町並みや遠くの海も見え、最高の景色でした。その後、五稜郭内部を散歩しましたが、周囲の景色がほぼ同じで、どこを歩いているか分からなくなり迷子になってしまいました。五稜郭をたっぷり観光した後、函館空港から飛行機で帰路につきました。
6月25日から7月6日にかけて行われた今回の集中観測で、多くの知識と貴重な経験を得ることができました。学部3年の段階でこのような経験ができる恵まれた環境にいることを実感しました。一緒に船に乗った先輩方、先生方、勢水丸の乗組員の皆様、本当にありがとうございました。
長くなりましたが、今回の観測日記は以上です。最後まで読んでくださりありがとうございました。
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