三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
こんにちは、B4の濱口翼です。
昨日は、東海地方で線状降水帯が発生する可能性があるとの情報があり、大学からなるべく早く帰宅するようお達しがありました。三重県では夕方から深夜にかけて大雨でしたが、電車が止まるほどではありませんでした。一方、愛知県では知多半島や豊田方面で電車が止まるなど、かなり激しい雨だったようです。近年、豪雨のような気象災害が増えていることを、昨日の大雨で改めて実感しました。
さて、今回は6月25日から7月2日まで、岩手県大槌町にある東京大学大槌沿岸センターで行った集中観測についてです。
この集中観測は、私が参加した大槌での観測に加え、三重大学の勢水丸とJAMSTECの新青丸の2隻と同時観測を行いました。勢水丸には同じ研究室のメンバーが乗船していたので、後日、そちらの観測内容が共有されると思います。私が今回報告する大槌での観測と勢水丸の観測内容を比較してみるのも面白いと思います。
観測メンバーは基本的に修士課程の学生で構成され、大学の先生や研究所の方を合わせて3名、そして学部生は私を含め2名でした。
今回の集中観測では、私は学生の解析隊長のような役割を担いました。この観測に興味があり参加を決めたので、せっかくならその結果を詳しく見てみたいという思いから解析隊長に立候補したのですが、初めての経験で非常に不安でした。また、三重県から大槌センターまでは非常に遠く、出発が早かったため、前日はほとんど眠れない状態でした。個人的には「かなり心配なスタートだな」と感じていましたが、一緒に観測を行ったメンバーの皆さんが様々に助けてくださり、不安な気持ちも徐々に解消されていきました。観測メンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
観測を行った東京大学大槌沿岸センターおおつち海の勉強室
大槌で行った集中観測では、ゾンデという気温や湿度、GPSを使った風速・風向などの気象データを取得できる機器を風船に取り付け、上空の様々な気象データを取得しました。集中観測の名の通り、当初は3時間ごと、途中からは1時間ごとにゾンデを取り付けた風船を放球しました。1時間ごとの観測は最長62時間連続で行われたため、3つの班に分かれて放球を続けました。また、ゾンデから得られたデータからどのような現象が捉えられたのか、さらに天気図なども利用してなぜそのようなデータが得られたのかを、観測の途中で解析も行いました。
ここからは、観測期間中に特に印象に残った出来事を紹介したいと思います。
まず、2日目に副虹が出たことです。夕方、少し時間があったので1日目に得られたデータの解析を行っていたところ、突然「虹すごい」という短いメールが届きました。何だろうと思い外に出てみると、これまでに見たことのないような美しい副虹が出ていました。このメールを見た観測メンバーは全員外に出ており、皆で写真や動画を撮っていました。私も思わずシャッターを切ってしまうほどの副虹を見られたのは、観測に来て良かったと思える出来事でした。
次に、観測期間中に霧がだんだんと海からやってきて湾内が霧に包まれる一部始終を見られたことです。霧が見られたのは4日目の朝で、私が1時間観測の担当をしているときでした。観測場所の近くに瓢箪島という観光スポットがあるのですが、そこがだんだんと霧に包まれていき、非常に幻想的でした。また、この時だけ地上付近のゾンデのデータが普段と異なるものであったため、その点も含めて非常に興味深かったです。(余談ですが、私と同じ班であった気象研究所の研究者の方は、2日目の午後から5日目の朝までと短い期間しか参加できなかったのですが、珍しい現象がいる間に起きたため、他の観測メンバーであった大学の先生からも「持ってるな」という感想が出ていました。)
また、大槌センターでウミガメの研究を行っているチームが同じ時期に滞在していたので、ウミガメについても見学させていただきました。今回見学させていただいたウミガメは、三陸沖にある定置網に引っかかったウミガメを漁師の方から譲り受け、計測といった生体調査や、バイオロギングといった生態調査を行っているそうです。基本的に2〜3ヶ月間大槌に滞在するとのことでした。ウミガメは生きている年齢がわからないなど、謎なことが多く、様々な研究を行う価値があるというお話を、ウミガメの研究を行っている学生の方から伺いました。普段私が研究している分野とは全く違う世界で、とても面白かったです。
今回の観測を通して感じたことは、研究を行うにしても、実際に感じたり、得られたデータを見て不思議に思ったことをすぐに議論することがいかに重要かということです。先述の霧であったり、夜に見た夜空であったりと、刻々と変化する空や気象の様子は、新たな発見を生んだり、普段行っている研究がどのようなものなのかを知れたりと、今後の研究のモチベーションにつながったと思います。また、霧が発生した時とそうでない時の違いや、海のほうでは霧が出ていたのに私たちが観測していた場所にはやってこなかったりと、疑問が生まれることも多くありました。現在行っている研究がうまくいっていない(これは自分の責任ですが)ということもあり、また解析隊長をしていたこともあり、今回の観測の結果で何か新しい研究ができないかと考えています。
最後に、この記事をご覧になっている方にお伝えしたいことがあります。それは、観測といった貴重な機会があったら、積極的に参加してほしいということです。私は運の良いことに学部生でこの集中観測に参加することができ、非常に貴重な経験をさせていただいたと思っています。皆さんも、このような貴重な経験をすることができるならば、ぜひ積極的に参加してほしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
PS:勢水丸で集中観測を行っていた立花先生が、船の中でテレビのVTR出演をしたり、寄港後にリモートでテレビに生出演したりと、どれだけ体力があるのかと驚きを通り越して引きました(笑)。
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