長崎大の学生3名が,3月12日の学生会合と
13-15日の全体会合のに参加した際のレポートを作成してくれました
すばらしいレポートなので,ココで紹介させていただきます
まずは一人目,新M2の三井くん
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【学生会合 3/12】
発表者:山内晃
タイトル:衛星データと雲解像モデルを用いた日本周辺域における低層雲解析研究
日本海、東シナ海を対象にした、3事例についてCloudSat(radar)とCALIPSO(lidar)とCReSSについて雲頂と雲底高度を比較する。
「CloudSatとCALIPSOの比較」
雲頂高度は概ね同じであるが、雲底高度に差が出た。雲底高度の再現は、CloudSatがやや低いという結果であった。ClouSatは、水雲、下層の雲の再現が得意な一方、CALIPSOは氷雲、上層の雲の再現が得意という傾向がある。
「衛星データとCReSSの比較」
CloudSatのレーダー反射率の比較の結果、CReSSの再現性は定性的に良好であった。衛星データで確認できた雲頂高度が上がるにつれて雲の幾何学的厚さが増すという傾向がCReSSからも確認できた。全般的にCReSSは衛星と比較し若干の差異はあるものの、大まかな特徴は捉えており再現性は良好であると言える。
発表者:安藤雄太
タイトル:2012/13の寒冬とAO・WPパターン・日本周辺の海面水温との関係
2012/13年の今冬の寒さをAO・WPパターンまたは日本周辺のSSTの観点から検討する。AO・WP指数についてそれぞれ5日移動平均をかけ、いずれも負(日本は低温化)が5日以上継続した3期間(P1:10/3~16, P2:10/23~11/5, P3:12/1~14)を抽出し解析してゆく。
AO(1日前)と北日本の気温偏差の相関が高く、先行研究と整合的である。また、WP(1日前)東日本の気温偏差の相関が高く北日本と逆相関であり、先行研究と整合的である。
高SST時は、AO・WPが負であるにも関わらず、海洋から大気へと熱が輸送されるため気温は高温偏差に、一方、低SST時の気温は低温偏差となる。
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【全体会合1日目 3/13】
発表者:吉江直樹(愛媛大)
タイトル:2012年夏季の歴史的豪雨が瀬戸内海の生態系に及ぼした影響
2012年7月の九州北部豪雨と大分県と愛媛県に挟まれた豊後水道で発生した史上最悪規模の赤潮の関係性について、海洋物理・海洋生態学的観点から検討する。まず、豊後水道への栄養塩供給ルートは、陸起源の瀬戸内海内部水と外洋起源の黒潮亜表層水の2つがあげられる。
九州北部豪雨後の海洋構造を見ると、北側の表層は陸起源の低塩水が卓越している一方で、南側の中底層は外洋起源の高塩水が卓越している。2009年の事例と比較し、本事例は全域で低塩、北部で富栄養である。また、2012年の事例は、低塩水が表層を覆っているため急潮が侵入できていない。これら海洋構造の変動により、渦鞭毛藻が優先種となった。
2012年7月の歴史的豪雨は、河川流量を増加させることで、陸からの栄養塩供給を増加させた。また、低塩水の張り出しにより、水道内の浄化機能持つ外洋由来の綺麗な急潮の侵入を阻害することが、赤潮発生のメカニズムであると示唆される。
発表者:浮田甚郎(新潟大)
タイトル:GRENE北極研究大気課題の紹介
北極域の温暖化は特に顕著であり、全球平均(1880年から+0.75℃)に対し、+2.25℃である。また近年、夏のシベリア沿岸の海氷減少が冬の日本を含むユーラシアの寒冷化に影響を与えていることが示唆される。
急変する北極気候システムを理解するために、モデル、陸域、大気、雪氷、炭素循環、海洋生態、海洋物理の7グループで構成されている。
「大気循環・サブグループの展望」
(1) 北極変動・変化が及ぼす影響評価
海氷を始め、中高緯度のSST、オゾン、ソーラーなどを変化させた感度 実験を、再現性を高めた実験で行う。
積雪など日本への影響評価を領域モデルで行う
(2) 温暖化時の成層圏
温暖化の進行に伴い成層圏は寒冷化し、物質循環も大きく変わることが予想される。
大気上層をより詳細にカバーするKyusyu GCMおよび大気と化学がカップリングした化学気候モデルを使用し、オゾン・ハロゲンの影響を含む温暖化進行時の上下結合の変化に関する分析を行う。
(3) 北極低気圧
近年の温暖化により活発化している北極海上の低気圧が、どのようなプロセスで生成、維持、消滅しているのか、また海洋に与える影響についてNICAMを用いて解析する。
【全体会合2日目 3/14】
発表者:三寺史夫(北大)
タイトル:オホーツク海・北極海における大気海洋解海氷相互作用
環オホーツク地域は海陸間(東西)および南北の熱的コントラストのせめぎ合いにおいて特徴的な地域である。よって、オホーツク海・北極域における海洋・海氷変動の大気に対する能動的作用のメカニズム解明を目的とする。
9月に北極海東シベリア沿岸で海氷面積の大きい年は、続く冬のオホーツク海海氷最大面積も大きい。この、季節と海域を越えて海氷変動を伝えるメカニズムについて検討する。CFESと観測データから、9月の北極海海氷の正偏差に対し、10-11月に東シベリア沿岸域の高気圧偏差とアリューシャン低気圧の強化が確認できた。この循環偏差に伴う風速偏差と背景場の温度勾配による寒気移流により、北極海海氷変動の情報が冬のオホーツク海とリンクすることが示唆される。
春季の海氷が薄(厚)ければ、夏に向かって海氷が急激(緩慢)に減少する。
【全体会合3日目 3/15】
発表者:磯辺篤彦(愛媛大)
タイトル:A01 方針報告
縁辺海である日本海、東シナ海の影響は北太平洋の広範囲の大気場へ波及するという特殊性がある。これら海域は、大陸から吹く風が初めて出会う、西に位置する暖かい海であるという特徴がある。また、海洋の空間スケールが傾圧波の約半分(1000km程度)であり、低気圧の成長を促進させやすい空間規模である可能性が考えられる。日本海、東シナ海の空間スケールを変更し、大気の応答を見る実験も実施予定?
今後2年間は、「海盆・惑星スケールの大気過程・海洋過程に東アジア縁辺海は何を為すか」を疑問に大気・海洋班が統合的に取り組む。
5月または6月に磯辺班、立花藩合同会合を開催する予定である。
発表者:西井和晃(東大)
タイトル:若手研究者連絡会(YHS)報告
「観測データ共有サーバーの紹介」
若手中心で観測データ共有サーバーを構築している。2012年の集中観測のデータとそれに関する情報を下記URLに掲載している。
http://hadley1.atmos.rcast.i-tokyo.ac.jp/hotspot/
パスワードは必要ではあるが、新学術のメンバーにのみ公開されている。どこからもリンクしていないので要注意。
また、有用な観測データの図や解析用スクリプトなども公開されている。
九大早崎さん提供のラジオゾンデ観測データの図や、処理用プログラム、衛星画像やGPVのページへのリンクも貼られている。JAMSTEC茂木さん提供のALERA2データと作図用スクリプトも公開されている。
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さてお次は,出張レポートby小路(長崎大)
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