D1のさかたです。
先に、大富さん、鈴木さんが報告されているように、3月18-19日の掲題の会議に参加してきました!
初めての東京大学訪問となりました
とても広い上に、建物一つ一つが大きいので、会議室にたどり着くまでにとっても迷いました
学内にローソンやドトール、レストランなどがあって、一つの街の様でした
(三重大にもcafeできないかなぁ~
)
それでは、研究会議の内容を報告したいと思います。この会は、主に北極の大気圏に関する方々が集まっていました。下記のような報告がありました。
・雲・放射の観測(衛星・地上雲レーダ,衛星パッシブ解析,EarthCARE)
・BC(ブラックカーボン)観測
・北極振動の影響評価
・中層大気の実験
・北極海氷の分布が大気に与える影響評価
・成層圏オゾンの役割
・冬季東アジアモンスーンの年々変動
個人的にはBC(ブラックカーボン)・エアロゾルの放射強制力やアイス‐アルベドフィードバックに関するお話が興味深かったです。と、いうわけで、その内容の一部を・・・
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小池先生(東大) 『エアロゾルチームの研究概要 』
エアロゾルやBCに関する研究のレヴューをされていました。
北極BCの発生源
:森林火災などのバイオマス燃焼 → 季節性がある
:人為的なもの(ヨーロッパから短時間でやってくる)
:低緯度由来のものもある(アジアから時間をかけてやってくる)
北極BCの輸送経路 :低層・高層どちらにも存在する
BCの効果
:CO2よりもBCの方が温室効果が高い!
:雪氷への沈着による反射率の変化 → 気温変化に影響
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近藤先生(東大)『 北極域における大気中および降水・降雪中のBC観測 』
BC測定法の開発に関するお話でした。
BCの放射強制力
:CO2よりも大きくなった
:2番目に大きいが、その不確定性も大きい
:全球のBCの放射強制力の把握は重要
:数値モデルの検証は不十分
輸送経路 :複合過程である
エアロゾル主な発生源
:冬から春にかけての、ユーラシアとカナダでのバイオマス燃焼と推定
:Flaringによる北極でのBC発生も無視できない
:北極内部は少ない
:中緯度あらが多い
BC濃度を支配する要因
:非線形である
:微物理・Agingを起こす化学過程・Dry Deposition(乾性沈着)・Wet Deposition(湿性沈着)
スキームの改善の例
:Wet Deposition → 混合雲による除去効率を小さくする(雲粒からのBC放出)
:Dry Deposition → Modelにより寄与が大きく異なる
BC変動
:季節変動は毎年似ている(冬春に最大,夏最少),しかし微妙に異なる(最大期間の長さ)
:春季にシベリアのバイオマス燃焼の影響が観られる
今後の観測(BC,aerosolのmicrophysics)
:春季の観測が有効
:BCsize分布,混合状態
:過去の観測dataの確認(Ny-Alesund data)
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田中先生(筑波大) 『 北極温暖化増幅と北極振動の関係 』
地球温暖化における北極振動の影響評価に関するお話でした。
北極温暖化増幅(Arctic Amplification Model)→ シンプルなモデルからいろんなことがわかる
:パラス方程式・2Box-Model
:アイス-アルベドフィードバックを入れると強化される
:温暖化もするが寒冷化作用もある
polar領域が温まってから中緯度が寒くなる
:温暖化 → 海氷融解 → 極域振動(AA)
:AAは冷やす方に働く
:AAとアイスアルベドフィードバックにより,Coolingが起きる
:今年寒いのは温暖化の影響
AOは温暖化にネガティブフィードバックを持つ
IPCCは過大評価している
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個人的には、筑波大の田中先生の研究手法が面白かったです。私にとって難しくてきちんとは理解できませんでしたが、シンプルなモデルから現象を考察していく点が良かったです。複雑にし過ぎて何がなんだか分からなくなるよりも、単純なモデルを使って原理を把握するメカニカルな研究に惹かれます。
三重大陣のみんなの発表も相変わらず、良い研究をしていて、素晴らしかったです
私自身についても色々考えさせられることが多かったです。自分の研究や今後の方向性も含めて、もう一度、深く考えていこうと思いました
ということで、今回の出張報告とさせていただきます
[2回]
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