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地球日記

三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/

   

新潟北極プロジェクト,東京新学術

古田です!
東京新学術,新潟北極プロジェクトに参加し,聴講させていただきました.
遅くなりましたが,そのご報告をします!

 
東京新学術第2回会議 3月14日~16日

この三日間でとても興味深く勉強になるお話をたくさん聴くことができました.

その中で特に興味深かった研究を3つ紹介します.
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1.「黒潮続流流路変動~3種類の黒潮流路に着目して~」東北大 杉本先生
黒潮大蛇行流路,非大蛇行接岸流路,非大蛇行離岸流路の3つの黒潮流路に分かれるのは,黒潮上流に原因があるということ.
 
また大蛇行流,非大蛇行接岸流の続流は安定流路であるのに対して,非大蛇行離岸流は不安定流路になるということでした.
この違いは,房総半島沖からの流路の打ち出しの速度と角度の違いから生じると考えられるそうです.
この非大蛇行離岸流による不安定流路は,日本のホットスポットに暖水塊をちぎり出して,大規模な熱量をもたらす重要な役割を果たしていることが分かりました.
 
 
杉本先生のプレゼンは,いつも丁寧で分かりやすく感じます.
 
2.A03-9 「人工衛星データを用いた北極海移流の解析」 木村さん
夏の北極の海氷は,減る場所が異なっています.
木村さんはこの原因の一つが,氷の厚さ・薄さにあると考えて解析されていました.
 
信頼性の高い氷の厚さデータがないため,粒子を北極の風の風速場において,どのように移動し分布するかということをシミュレートします.
粒子が風によって集まれば密(厚い氷),散っていくとそこは疎(薄い氷)になると仮定してしました.
こうしてできた厚い氷,薄い氷と実際の流氷分布を比較すると,やはり薄い氷がよく溶けていると考えられることが分かりました.
 
研究手法がとても面白く,創造力豊かな研究だと感じました.

3.ポスター発表「領域大気モデル中のメキシコ湾流に対する表層風応答メカニズム」高玉さん 北大
 
SST前線に対する表層応答の代表的なメカニズムに気圧調整メカニズムと鉛直混合メカニズムがあります.ある湾流に対してこれらのメカニズムのどちらが大きく寄与している
かを研究されていました.
表層摩擦が鉛直積分運動量に比例すると仮定して,風ベクトルのローテーションをとり気圧調整項と鉛直混合項を出して比較しています.
 
比較した結果メキシコ湾流では,収束は気圧調整メカニズム,回転は鉛直混合メカニズムが大きく寄与していることが分かりました.
 
 
勉強不足な僕にメカニズムから丁寧に教えて頂きました.
非常にlogiticな研究内容で分かりやすく面白いなと感じました.


多くの研究を聞かせて頂くと,やはり皆さん自分の研究を心底楽しんでいると感じました.
僕も自分の研究を心から楽しんで,いきいきと研究を紹介したいなと思います!! 


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あと懇親会では長崎大の同学年の学生と話すことができました.
地球物理を扱う同学年の学生と話せ,とてもうれしいかったです.
これからお互いの研究を話し合えることができると考えるとわくわくしますね!






 
新潟 北極プロジェクト
 
 
北極域の温暖化メカニズムを,エアロゾル・雲・放射計算や大気循環SGから解明していくGrene事業北極気候変動研究?に参加して北極研究をについて聴講しました.
 
 
夜行バスで移動後の研究発表だったので,頭が回らず...皆さんの研究すべてを理解することができませんでしたが,その中で特に面白いと思った研究を2つ紹介します.
 
  1. JAMSTECのハラさんは,気候変動が降雪にどのような変化をもたらすかを考え,日本海の降雪に着目されていました.
 
長いスケールで降雪を考えると,寒気が強いほど,日本海SSTが高いほど降雪が多くなっています.
 
・降雪量は年々変動が大きいこと.
・豪雪地帯の多くは,平均温度0度を上回ること.
・地形の分布に降雪量が大きく影響していること.
 
地形分布の影響を考えるためには,さらに解像度の高いデータが必要になるそうです.
 
  1. JAMSTECの高谷さんは,北半球寒冷域の大気循環を研究されていました.
 
11~12月 晩秋のユーラシア大陸西部(バレンツ海)に循環異常を原因として,
12月 に北極の成層圏にAOが現れ,
1月 になると上層のAOが下に降り,SLP偏差ができる.
 
と変遷していくことが分かりました.
 
 
また今年の冬は,日本付近・ユーラシア上では例年に比べ珍しく寒気が12月,1月,2月と持続したのに対して,北米では暖冬になりました.
そこで時間平均した250hPaの流線関数偏差をとったところ,バレンツ海の偏差が大きいことから,バレンツ海が重要な熱力学場であるということがわかりました.またバレンツだけでなく,別の極付近の場所にも偏差の大きいところが存在することから,他にも重要な熱力の場があるかもしれないということでした.
 
北極の研究を考えているため,こうした北極の熱力過程や特性を学べたことは非常に有益なものになったと考えます!
こうした知識が研究と結びつけばより一層面白い研究ができそうです.
 


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 帰りは日帰り温泉に寄り,温泉から新潟市の夜景を一望しました.
贅沢なひと時でした...

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三重大学 立花研
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
気候について追求する!
自己紹介:
三重大学 生物資源学部
共生環境学科
地球システム学講座
気象・気候ダイナミクス研究室です。

・普段は興味のある気象・気候について研究しています!!

・研究室への質問疑問などなどがありましたら、コメントでも拍手でも構いませんので遠慮なくカキコお願いします!(^0^)ノ

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