気象学会 2013 @東京
こんにちは,コダです.東京で開かれた気象学会春季大会に参加させていただきました.今年の学会は4日間にわたり,研究発表のほかに勉強になる講演やシンポジウムもたくさんありました.
興味深かった研究や講演を紹介していきたいと思います.
中層大気
・赤外線測器を用いて南半球冬季の成層圏における重力波の伝搬特性を解析した研究では,重力波の水平伝播を解析できるため,南北伝播の重要性を確認することができます.
南半球でのジェット・前線起源の伝播の解析はないため,解析地を南半球としています.
解析結果から南極前線で大振幅重力波が生まれていることが示唆され,また解析図から南半球の一部(緒方さんの研究で氷をなくしている地域?)で大振幅重力波が生まれにくいことも見て取れましたが,それについてはまだ原因は分からないそうです.
気象庁55年長期再解析
・この会場では55年分のデータ整理がされたJRA55(go-go)と他のデータとを比較した研究を聴講しました.JRA55はJRA25に比べて特に成層圏バイアスがminimizeされており,JRA55の他にJRA55C,55AMIPなども用意されています.それぞれ衛星データ,観測データを使わずに計算,整理したデータだそうで,全部のデータが公開されるのは来年度?になるようです.
これらのデータは対流圏では差はありませんが,QBOの表現に差があるようで,JRA55>JRA55C>AMIPの順で再現性が高いです.
記念講演
・グリーンランド氷床におけるアルベドの変化
本学会の中で最も面白い講演の1つでした.グリーンランド氷床のアルベドはここ30~40年でめちゃくちゃ減少しています.それは氷が汚れてきていることからきているのですが,この汚れの原因をつくる犯人はどうもAir CabonやDustを取り入れるクリオコナイトという雪氷に生息する微生物だそうです.この微生物がクリオコナイトホールをつくり,気温変動?によってホールが壊れ,壊れたホール同士がくっつくことで大きなホールができます.この成長したホール内で,有機物が生成され氷床を汚しています.ただ氷床の減少は,その生物にとっての生息地を失うという矛盾というかジレンマがあります.はたしてクリオコナイトが自分の首をしめるような形で生息し続いてきたのかどうかはまだわかっていません.このジレンマを解消する鍵がみつかると面白いですね!
シンポジウム
熱帯域における台風の観測とシミュレーション
この講演では,昨年何度も台風を経験された,琉球大学の山田先生が台風シミュレーションについてお話されていました.台風の発生メカニズムがまだ十分に理解されていない現状におけるシミュレーションには,限度があります.また台風の成長に対する正確な予測のためには,いまだ謎につつまれる台風内部の構造データを同化させて,その遷移をみて台風の理解を進めていくべきです.
吉岡さんのデータを用いればさらなる台風構造の理解が深まるかもしれませんね.
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