三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
おばんです~
陸酔いから解放されたものの,今度は夏バテ気味.M1天野です.
6月15日(水)~24日(金)に,梅雨観測を行ってきました.
梅雨前線・線状降水帯の観測に加え,この観測では取得したデータを随時気象庁へ通報も行いました.
自分たちで取得したデータが,リアルタイムで予報値に組み込まれ,予報の精度向上に活かされていくなんて…今振り返ってもすごいことだなと改めて感じます.
また,長崎大の長崎丸,鹿児島大のかごしま丸,三重大の勢水丸の3船が,列をなし,同期しながら高密度観測を行うという,前代未聞(!?)の観測も行ってきました.
私は,三重大勢水丸のメンバーとして参加.
勢水丸は,コロナ禍で乗船人数が制限されているため,他の船よりも少ないメンバーで奮闘してきました!
出発前は人数が少ない分,大変な観測になるな,しんどいかな…と思っていたものの,航海中・後には「少数精鋭部隊だからこそ頑張れたな」と何度も思いました.
1人1人が観測のプロになって帰って来れました!(嬉)
乗船中ちまちま書いていたメモ書き日記を記します.
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14日(火)
前日の積み込み作業を行いに,勢水丸へ.
荷物の積み込み・機器類の設置・回線の確認等を行った.
外はどしゃぶりの雨,風が強い.
明日は低気圧通過に伴って,海が荒れる予報らしい.
15日(水)
いよいよ出発!抗原定性検査,全員無事陰性.
船に乗り込む前にきちんとアネロン服用.出港直後は元気.
だったが,伊勢湾を出るあたりから徐々にグロッキーに.
予報通り低気圧のせいで海が大荒れ.(20度近く揺れていたらしい)
初めての伊良湖水道,楽しみにしていたのに…
全然動けないし,まともな食事が取れない.
(この日は生きるのに必死でした)
16日(木)
海は落ち着いているみたいだが,体がまだ船になれていない.気合いを入れればそれなりに起きて活動できるものの,ミンティアとガムが欠かせない.
黒潮上を航行中.午前中に3度観測.勢水丸はオペレーター1人,放球隊3人という人員配置.
ゾンデ放球→バケツ採水→XBT/XCTDの流れや,巻下器を使用した放球の仕方を確認.
1回目の際にイルカの群れが見れた.2回目にオペレーター1人で挑戦,てんやわんやしないように1つ1つ確認しながら.本番ゾンデと予備ゾンデを同時進行で準備するとなると,だいぶ忙しい,早く慣れたい.
午後は4回観測,繰り返しやったことでオペレーター・放球隊どちらもやれる自信がついた.
夜20:00〜ワッチ開始,6時間ごとの観測を行う予定.
最初の放球(20:30)をしっかり成功させられた&気象庁への通報もばっちし.
早朝,イルカたちが船と一緒に泳いでいる様子が見れた,船が走るときにできる波で遊んでいるらしい.
朝それなりに食欲がある,お粥が量食べれるようになった.
早朝に屋久島付近を通過しトカラ列島付近に.しばらくここにとどまる予定.
まとまった雨が降りそうということで,夜20:30〜翌朝8:30までは3時間観測に.
ここまで,寝たり食べたりがまともに出来ていないので,体力的にだいぶキツい.
18日(土)
朝8:30~6時間観測に戻る,今日は一日海が穏やかな日だった.
揺れにも慣れてきたし,食欲も出てきた.普通のご飯をいっぱい食べられるようになった.
船に乗ってから,毎日魚を食べている.朝食は必ず焼き魚が出る,とても贅沢.
ブリッジにも長時間いれるようになったし,CTDのオペレーターやブリッジ野帳の記入もできるようになった.
明日の集中観測が予定通りの時刻から実施されることが決定.
14:30の観測後,全員で具体的な流れを確認.高密度観測を模した練習ということで,19:30/20:30/21:30と、1時間ごとに計3回観測を行った.
穏やかな海・ほぼ無風という状況で「嵐の前の静けさかな?」と思った.
・暴風雨の場合でも決めた流れであれば問題ないこと
・ハプニングがあってもある程度であれば取り返しがつくこと
・流れをきちんと守れば予定時刻どおり放球、通報を行うことが可能であること
が確認できた.全員で共通認識を持てたことで更に自信がついた.
今晩は深夜2:30放球はなし,明日に向けて全員早めに休むことに.
tachi ballon 2213航海ver.(巻下器もついてる)
船はトカラ列島付近を離脱し,3船同期高密度観測の最初の地点へ向かっている.
19日(日)
朝8:30~高密度観測スタート.
長崎丸,かごしま丸に乗っている三重大メンバーも,一緒に観測しているんだ…!と思うと,なんだか更に頑張れる.
最初の6回が無事終了.順調に進んでいる,インターバル走をしている感覚.(1回1回必死なので記憶があったりなかったり)
オペレータとして入るときは,1人での作業のため地味に緊張する.
観測と観測の間の時間は体力温存のために横になって休憩orご飯を必死に食べる.
天気がコロコロ変わっている印象,激しい雨が降っていたかと思えば,ピタっとやんだりもする.海面水温の測定結果が面白い.
20日(月)
朝5:30~最後のround.自分がオペレータとして入ったときに,ちょっとしたトラブルもあったが,落ち着いて対処できた.ラスト1回は,学生4人で放球.
最後まで失敗無く無事やりきれてホッとしている.
お昼の「手こね寿司」(三重県名物)が本当に美味しかった,最高のご褒美.
午後はぐっすり寝た.
20:30〜観測再開.
夜みんなでトランプをし,ビールで乾杯.うま!
21日(火)
宇治群島付近に停泊中.昼間は3時間観測.
1時間観測と比べると圧倒的に余裕があるので「え,こんなに休んでいいんですか?」となる.
船は午後から屋久島付近へ移動.今日は夏至,夕焼けをコンパスデッキからみんなで見た.
22日(水)
種子島・屋久島付近で観測.
屋久島をバックに放球した,映えますね~
放球時の様子
黒潮上だから?晴れているから?か蒸し暑い.雲が少ない空.
先日までの荒れた海はどこへやら.おだやかな海.
その後,種子島・屋久島の間を抜け,17時頃黒潮にのった.
帰りは黒潮にのって,ピュッと帰るぞ~
離脱時の様子
3時間毎観測を行っている.相対風速がほぼ0m/s(ラグランジュ的に観測を行っていた…!)
今日も夕日がきれい.20:30の放球後,コンパスデッキから星を見た,天然のプラネタリウム.
23日(木)
引き続き3時間毎観測.今日もすごく暑い.
↑ラスト放球前に,個人個人の記念撮影会をした.
みんなキメキメ&ノリノリ
14:30に最後の放球.
無事最後までやりきれてホッとしている.
片付けにてんやわんや.15:30頃に潮岬通過.
24日(金)
朝8:30,松阪港へ帰港.
満足の行く観測をして帰って来れたことが嬉しい!
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以上がメモ書き日記全文です.
立花先生をはじめ,
気象庁の方々や簡潔な情報を届けてくださった陸上支援の皆様
安全第一で航行してくださった船員の方々
荒波・雨風を共に乗り越えた勢水丸観測メンバー
準備から片付けまで一緒に頑張ってくれて送り出してくださった研究室メンバー
全ての方々と共に,無事,世界初(!?)の観測を成功出来たことを本当に嬉しく思います.
改めて関係者の皆様に深く感謝申し上げます.
長崎丸・かごしま丸のデータも合わせたらどんな様子が見れるのか...
ワクワクしますね.
また,現場での観測,実際に体感することの重要性も感じました.
百聞は一見にしかず.
また,初日はグロッキーすぎて,動けない自分が情けなくて本当に絶望に暮れていましたが,徐々に船での生活に慣れていき,「人間の適応能力ってすごい」と身をもって感じました.
また機会があれば観測に行きたい!
そう思えるほど,実りある10日間になりました.
今回はこのあたりで.
写真提供:安藤さん,竹端さん,佐野さん,山田さん
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