船の縦揺れをジェットコースターのように楽しんでいたのは1時間だけ。あとは耐える日々…
お久しぶりです。
卒論と院試で充実した日々を過ごしている(追われているの間違い…?)学部4年の山田です。
今回は新学術Hotspot2、線状降水帯の予測精度向上のための4隻同時観測に三重大練習船「勢水丸」に乗船し、観測してきたことについて書いていきます!ただ10日間(6/15〜24日)と長い航海だったので、
【初日〜3隻同時観測前夜】,【3隻同時観測】,【3隻同時観測後〜最終日】の3パートに分けますね。
【その前に、まず知ってほしいこと】
勢水丸に乗船した観測メンバーは
立花先生、新潟大の安藤さん。
学生は竹端さん、天野さん、佐野さん、自分。
テレビ朝日から記者の川崎さん、カメラマンの古川さん。計8人です。
8人で観測?いや、カメラマンと先生はワッチに入れないので6人。→8時間担当・4時間休憩
このワッチで10日間、かつ19~20日にかけて24時間観測??想像してごらん.他の船の記事と比較して.(学生4人ともガッツリ運動部経験者の体力オバケだったことが乗り越えられた理由ですかね笑)
【初日〜3隻同時観測前】
15日の10時前に出港!空は蒼く澄み渡り、海は穏やか、なんてことはなく、曇天のなか船旅は始まりました…。
伊良湖水道を越えてから意味わからんほど揺れましたね。先輩2人ダウンしてましたし、あんなにゆれる経験はないと思いますし、もう嫌です。本当に…。
なんとか揺れも落ち着き、観測できるようになったのは16日の夜。それまではご飯食べて揺れに耐える生活が続きましたが17日に以降は揺れにも慣れ、ようやく観測開始!
〈デッキ〉
まず放射温度計で空と海と温度を測り、バルーンの準備を始めます。ここで大変だったのは圧力計の示す値が注入したら変化することが何度かあり、そこまで信用できなかったので、バルーンの大きさとヘリウムの注入量の関係を経験で覚え、それを頼りに調節していたことですね。
〈オペレーター〉
ひとことで言えば慣れたら早いけど、慣れるまではやること多すぎ!って慌てていました…。ゾンデ点検、データ安定しているか、放球後はXCTDの準備、同時に野帳も。しかも1人で。自分は慣れるまで時間かかりましたけど、先輩や安藤さんはすぐに慣れていたのでかっこよかったです!
雨の中、風のなか、深夜2時半、どの環境でも放球できるように3時間観測もしましたし、ひと通り覚えて、24時間観測前には学生たちで考えた観測ルーティンで練習したりと成功させるための準備を念入りにしていました!ここに関しては抜け目なくできたと思っています!
〈想い出〉
・初見です,野生のイルカ,群れの姿
・イリジウム,知らない間に,40万
【3隻同時観測】
・19日8時半、ついに三重、長崎、鹿児島大の3隻による「3隻同時格子点観測」の始まり始まり。
陸上支援から届いた予報に合わせて雨雲に当たるように調整したことで、がっつり雨雲に的中!特に前半は雨が強く降るところ、風が急変するところを観測できたと思う!当時は他の船のことよりも自分が失敗しないことだけを意識していたかな。天候の良し悪し関係なくずっと集中していたと思う。デッキかつ電文担当だったので移動が大変でしたね。(この辺りも体力オバケで乗り切ったかな?笑)
後半は前半に比べて天気は落ち着いていたが、夜間の観測であることくらいは気にかけて、あとは問題なく観測できたかなと.
そして最終地点の放球も成功させ、24時間観測全地点成功という見事な結果を叩き出せました!(観測メンバー基本的に6人!ここ重要!笑)
〈想い出〉
・豪雨時、観測中は、幸運時
【3隻同時観測後〜最終日】
・無事、24時間観測を終え、気も張っていたこともあり、疲れからかその日の夕方までは熟睡してましたね。回復後は雨雲を求めて移動し、定点観測を宇治群島という聞いたことない場所で行いました。ただうねりがひどく、ここで航海中最大の揺れとなる左に30度傾き,先輩のパスタはひっくり返り、ディスプレイの落下にやって角がかけるなど、初日と同じくらい揺れていましたね。ただ、そこは人間の進化ですかね、揺れの適応能力が全員向上しており、死んだように倒れている人はいなかったと思います。
その後、逃げるように群島を離れ、夏至の夕焼けに感動し、
屋久島バックに記念撮影やゾンデ放球も行いました!CTD観測も行い、ゾンデ観測もオペレーターを担当しまくって、デッキもオペレーターも完璧になれたと思います。
〈想い出〉
・3・2・1,放球・離した..,「あ゛~」響く
・打ち上げだ!,飲酒たったの,30分
【まとめ】
はじめに,事前準備から陸上支援をしていただいた気象庁の職員の方々や各大学の研究者・学生の方々,各船の船員さん・観測メンバー全員が一丸となり,このプロジェクトに取り組んだことが世界初の観測を成功させることができたというのは言うまでもありませんが,これらすべてのサポートがなければ観測成功させることは難しかったと思います.改めて関係者のすべての方に深く感謝を申し上げます.大変お世話になりました.
そして大切なのはここから.この観測に実際に乗船した経験を忘れず,得たデータの解析もできる限り参加していきたいと思っているので,観測して終わりということがないように気を引き締めて研究を続けていきたいです.
卒論・院試・予報士試験・シンポジウム・学会...充実してますね!!!
頑張ります!(体調だけは気をつけます)
今回の観測の映像がテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」にて放送されました!YouTubeでも視聴できますので是非ご覧あれ!
URL:
調査船に密着取材 見えてきた線状降水帯の発生メカニズム カギは黒潮に…(2022年7月20日)
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