三重大学 / 気象・気候ダイナミクス研究室の1コマ → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/earth/index.htm → https://atm.bio.mie-u.ac.jp/
B4の安藤です。初めて「地球日記」に書き込みをします。よろしくお願いします。 東京で開かれた2011年度日本気象学会春季大会に参加ました。
1日目(5.18)
朝6時過ぎに自宅を出発して9時頃に東京に到着しました。
・午前の部-境界層Ⅰ-
藤原忠誠さん(北大院環境科学)「ドップラーライダーで観測した海上の組織的気流構造」
ドップラーライダーはエアロゾルの移動速度を測るので、広い範囲の風速分布を知ることができます。陸上で測ったところ、網目状とストリークの2種類の気流構造があることが分かったそうです。海上風でも一定の風速ではなく場所によって異なっていたので、海での局所的な観測も大切なのだと改めて認識しました。
・ポスター・セッション
堀口光章さん(京大防災研)「中立に近い大気境界層における組織的乱流構造-気象観測鉄塔によるデータの解析-」
地表面での乱流を測るため、高い塔にいくつもの超音波風速計を設置して乱流の鉛直構造を調べていました。海上での乱流の鉛直構造を知るために、勢水丸にも超音波風総計を複数台設置できたらさらに新しいことが分かるのではないかと思いました。
・午後の部-専門分科会「2010年夏の異常気象」-
小坂優さん(ハワイ大IPRC)「ENSO発達期における夏期北太平洋モンスーン活動偏差」
エルニーニョがインド洋コンデンサ効果に影響して日本が冷夏・多雨になるそうです。インド洋のことはほとんど知らなかったのですが、気象に重要な役割を果たしていると分かり興味がわきました。また、ここでの大きな観測プロジェクトもあるそうなのでその結果も楽しみです。
2日目(5.19)
良い天気でしたが暑かったです。しかも節電のためか冷房は付けていませんでした・・・。
・午前の部-境界層Ⅱ-
伊藤純至さん(東大大気海洋研)「LESによる海風前線の再現と水平対流のスケーリング」
海と陸の間での水平対流は3種類あり、それを数値実験で再現したそうです。自分の研究ではこれを観測値から見ていくかもしれないので、このようなモデルと比較できたら面白いなと思いました。
・ポスター・セッション
野口淡海さん(東工大院理)「久が原タワーを用いた大気乱流のスペクトル解析」
多くのデータがあると統計データとして処理できます。その中でこの研究ではスペクトル解析を行って乱流の周期はどれくらいかを求めています。乱流でもある程度決まった周期があるので、それを自分の研究に活かせたらいいなと思いました。
・午後の部-学会賞・藤原賞受賞記念講演-
日本気象学会藤原賞受賞者:田中博さん(名大名誉教授)
知識がなくてあまり理解できませんでしたが、内部重力波がジェット気流と中層大気の間に弱風層をつくるそうです。これによって、大気大循環の運動量のミッシング・リンクの謎が解明されたそうです。何十年も研究を続けられてきたお姿が印象的でした。
・懇親会
立花先生に勧められて参加しました(ご本人は参加していません・・・)。最初はどうすればいいのか分からなくて藤田くんと一緒に隅で固まっていましたが、弘前大の児玉先生や富山大の川村先生が声をかけて下さいました。また、名大や筑波大の院生の方も話しかけて下さり、様々な人とお話ができて良かったです。学生は参加費が1000円だったので、思ったより多くの学生が参加していました。でも、まだまだ少ないので、無料にするのがいいのかもしれません。幅広い年代の人同士が交流できれば、お互いに良い刺激を受けられると思います。
3日目(5.20)
利用者が多くホテルの朝食に30分くらい待たされました・・・。大急ぎで学会会場へ行きました。
・午前の部-中緯度大気-
山本勝さん(九大応力研)「東アジア縁辺海が日本海低気圧に与える影響」
日本海と黄海の海面水温偏差はシーソー関係にあってそれが大気に影響を与えるのは興味深かったです。現実の日本海の水温分布は複雑なのでそれで数値実験したらどうなるのか、これからも楽しみです。
・ポスター・セッション
関谷高志さん(名大院環境)「全球対流圏オゾン経年変動の回転EOF解析:ENSOおよびAOのインパクト」
対流圏オゾンの変動がENSOやAOに影響を与えるのは面白い研究だと思います。このメカニズムと、昔読んだエアロゾルがAOに影響を与えるという論文と比較したら何か新しい発見があるかもしれないと思いました。
・午後の部-シンポジウム「変動する地球気候の鍵 南極・北極」-
伊村智さん(極地研)「氷床を巡る生物探査と地球規模気候変動」
南極大陸は暑さ3000m以上の氷で覆われていますが、その下に淡水の湖があるそうです。その湖は長い間氷に覆われているので、大昔の生物がそのまま保存されている可能性があります。南極は気候変動と生物の保存庫で、これからも目が離せません。
まとめ
学会参加は2回目ですが、前回と違い知識があるのと自分の研究テーマがある程度絞られているので集中して情報を集めることができ、より充実したものになりました。様々な刺激を受け、これからさらに研究に励もうと思います。
まもなく東京を離れ、那覇に向かいます。先発隊の方よろしくお願いします。
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